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『天璋院篤姫』宮尾 登美子

新装版 天璋院篤姫(上)/宮尾 登美子
¥700
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08年の大河ドラマの原作なんだそうです。フジの『大奥』で、菅野美穂が演じた篤姫がとても印象的でした。そのモデルになった人の宮尾登美子版の小説です。
3月に読んだ『徳川の夫人たち 下』(過去記事) とは対照的に、語り手が史料を読み解くという手法ではなく、語り手によって篤姫の内面に入り込む3人称で話は進んでいきます。
篤姫が凛とした書かれ方でした。和宮がちょっと可愛そうな感じです。
島津の本家に養子として入る前は、支藩の姫として『日本外史』を読んだり、頼山陽の漢詩を好んだり、また、近所のガキが自分の兄を虐める現場を目撃した篤姫が砂を顔面にかけて目潰しをしたり、と、姫としての自由の限界の中でものびのびと成長し、また、将軍家への輿入れが決った際に養父斉彬から託された、「14代将軍は一橋慶喜に」という使命を帯びた際には、江戸で名を馳せようとする頼山陽の野心と自分の心を重ね合わせたり、また、支藩から養子に入ると、自分の産みの父母が自分よりも身分が低くなることに悩んだり、と、孝道と野心が入り混じった女性として描かれています。
「女の死場は嫁いだ先」という価値観を、薩摩と幕府が敵対関係になった時にも、貫く姿は何とも壮絶です。次第に嫁ぎ先である徳川の人間になっていくのですが、その中でもまた将軍家の「公」と夫婦としての「私」が内面の闘いともなります。
西郷隆盛との関係も、少しは書かれていますが、恋愛感情ではなく、神のような英邁さを持つ義父、斉彬の代弁者であり、また、斉彬亡き後は薩摩の家臣として、ちょっと見下した感じで書かれています。その辺りが、時代の変遷と、立場の逆転のなどで、かなりの緊張感を持たせるスパイスになっているのが、凄かったです。
印象的なのは、和宮降嫁後のドタバタで、「嫁」として扱うか、「宮様」として扱うかの葛藤も無く、とにかく徳川のために「嫁」になってもらう、という決心とその実行でした。武家と公家は違うのだ、宮様には武家の嫁として大奥に寝起きする女性達を束ねていって欲しいのだ、という願いを達成させようとする、細やかな心配りに基づく作戦とその挫折は、かなり面白かったです。
「意志が無い弱い女性」として描かれる和宮ですが、徳川幕府が崩壊した後は、直に接するうちに、実は彼女自身も徳川の嫁として生涯を全うするつもりであったものの、周囲に流され、誤解を産むような行動を取らざるを得なかったコトなどに触れて、心が氷解していくさまは、「明治の篤姫」という、なかなかドラマなどにも出てこない部分なので、宮尾登美子の創作であるにしても、面白かったです。時に頑な過ぎて、時に優しい、プライドも高く、なかなか折れることができない、そんな篤姫の姿が出ている感じで、凄く良かったです。
二人で勝海舟の邸宅に遊びに行ったくだりなんていうのも、とても、面白いエピソードになっていました。
これを大河で1年間、ぶっ通しでやるのか、と思うと、ちょっとキツい話(かなりドロドロした部分もあるので)だな〜、と思いながらも、明治の篤姫をぜひとも見てみたいなぁ、と思ったわけでした。


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Comments:2

さくら。 2007/05/16 02:18 PM
■08の大河ドラマですか
宮尾さんの御本はよく大河ドラマに
なりますね☆
たしか、義経も宮尾さんの御本でしたよねvv
今から楽しみです( ´艸`)

http://ameblo.jp/yami-nabe
パラ野 2007/05/16 05:06 PM
■さくら。さん♪
こちらでは、はじめまして(^^♪
そういえば、「義経」もそうでしたね。すっかり、忘れていました。
この作品で、初めて宮尾作品に触れましたが、とても桜島の情景が美しかったです。
小道具の描写も細やかで、どんなドラマになるのか、本当に楽しみですね。
主役の方はもう発表されていますが、その他のキャストも楽しみです(^^♪
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【覚書】★★★★★★★☆☆☆ 十三代将軍徳川家定の御台所(正室)で、その後江戸城の無血開城を迎えるまで大奥を束ねていた天璋院(てんしょういん)篤姫(あつひめ)が主人公の小説。 薩摩藩の分家から本家の...

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