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「石の葬式」パノス カルネジス

梅雨も明けたら個人的にケロロ祭りで大変な状態になっていました。
今年は調子が悪いようです。つか、数か月も読書を全くできない状態ってのは、結構、ひどい状態ね。
気になる雑誌を調べていたら、こんな本を見つけた。
目次はこんな感じ。
日本の近代化でモデルとなるがイギリスとかドイツとかじゃなくて、フランスだったら、どんなに夏休みが長くなったんだろうかと、想像したくなりませんか、皆さん。1か月のヴァカンスですよ、おフランス。
きっと、チマチマチマチマ時間にもうるさい日本人にならなかったかもしれないじゃん。10分前集合って、なんなのよ。美徳でも何でもないよ、コンチクショー。
そんな私は時間におおらかです。遅刻するし。遅刻しない人とはお友達になれないし。
それはそうとして、

石の葬式

石の葬式

白水社


パノス カルネジスという人の作品です。2006年に買ったのですが、読み始めたのは3日前でした。
この作者の母語的な言い回しがあるけれども、人名が変だなぁと思ったら、パノス カルネジス自身が英語で書いたという作品だった。
21世紀に入ってから書かれた作品です。でも、1960年代くらいの話とか出てきます。まだ軍が強くって、公安とか訳されている所に、軍曹とか伍長とか出てくる。やっぱ、緑と赤を想像してしまいそうになるのですが、なんとか堪えた。
谷間の小さな村を舞台にした連作です。その土地にしがみついたまま生きようとする村民に訪れる、近代化の波と、人間模様のドロドロと。テンションの高いドロドロって、日本のドロドロよりもイッちゃっていて、もはや悲劇なんだか喜劇なんだか判らない、作品です。ガルシア=マルケスのような寓話的な世界とも似ているような、似ていないような。
ミクロアシアを舞台にしたカザンザキスの「キリストはふたたび十字架に」の悪ふざけをしまくったパロディなのかもしれない。構成とか、登場人物とか、いろんな面でそう思えるところがある。そういえば、大きなモノに振り回される小さな共同体っていう構造も似ているね。「キリストはふたたび十字架に」の場合は、独立戦争のゴタゴタで逃れてきた他の村の人が持ってきた感染病が原因で主人公たちの受難が始ったりします。それとトルコの美少年殺しの話か。
こういった厄災が近代化などに翻案されて、極めてギリシャ的な世界として描かれているんじゃないかなぁ。
冒頭に引用されているのがカヴァフィスってのが、また示唆的な感じもするんだけれどもね。アレクサンドリアでヘレニズムの復活をと思いながら詩を書き続けた人なんだけれども。目の前のギリシャではない、心の中のギリシャなんだ、そう言ってた人ね。
いろんな語り手が出てきたり、三人称で語られたりしています。何気ない村の物語が延々と続くんだなぁ、と、最後の悲劇を知らないまま読んでいる読者には、村を外から見たり、内側から見たり、と、かなり楽しめます。この話のアイツと、あの話のコイツは同じヤツだったのか、と、読んでいる途中で気がついたり。
こういった連作って、かなーり読むのが遅いのですが、変過ぎて面白かったので、きちんと読めたかな。
幻想的な「石の葬式」というタイトルからは想像もできない悪ふざけな本でした。現代のディアスポラで故郷から遠く離れて作家活動をしている、カルネジス自身のギリシャ的なものをギュッと詰め込んだ作品なのかもしれない。


カヴァフィス全詩集


Comments:2

indi-book 2008/08/15 10:11 PM
TBありがとうございます。
これ、ちょっと変わった小説だったでしょ?
その変な感じが魅力だったわけですが、、。
パラ野 2008/08/15 11:17 PM
TB、受け取ってくださってありがとうございます。
変わった作品でしたね。雰囲気もそうですが、構成とかも凄く手が込んでいましたね。
こういった魅力の本は、本当に少ないです。読んで良かったです。
この人の作品、もっと読んでみたいな、と思わせます。
母国での評価はどうだったのか、ちょっと気になりますね。
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